理事長挨拶

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日本フンボルト協会理事長 広渡 清吾


 2013年6月29日、日本フンボルト協会の創立総会が京都リサーチ・パークにおいて開催され、会則を決定、役員を選出して、正式に日本フンボルト協会が発足しました。協会のドイツ語名称は、Humboldt-Gesellschaft Japan に決定しました。総会で選出された理事による第1回理事会で、私が理事長に選任されました。

 日本フンボルト協会は、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung)の奨学生としてドイツの研究機関において学術研究に従事した者(Humboldtianer・フンボルティアーナ)によって組織される団体です。アレクサンダー・フォン・フンボルト財団は、1953年にドイツ連邦共和国政府によって設立され、国境と専門分野を超える諸外国とドイツの研究者の協働を進めることによってドイツの国際的学術交流を発展させることを目的としています(フンボルト財団について)。

 これまで日本のフンボルティアーナは、地域的に東西2つに分かれて、東日本フンボルト協会および西日本フンボルト会の2つの組織を作って活動してきました。2つの会が設立されたのは1989年のことでしたが、いまや、東西2つの会を統合し、日本のフンボルティアーナ約2000人を包摂した新たな全国組織として、日本フンボルト協会が誕生することとなりました。

 東西の会の合同による新協会の設立は、この3年来の課題でした。私は、2011年9月、京都国際文化会館で開催された、日独交流150周年を記念するフンボルト・コロキウム「グローバル化する世界における日本とドイツの持続的関係-フィリップ・フランツ・フォン・ジ―ボルトと緒方洪庵以来の医学」の開会のあいさつで、東西のフンボルティアーナの会の連携が強まるという条件の下、日本のフンボルティアーナが1つの組織にまとまり、グローバル化する時代の課題に応えていくことが必要になりつつあると述べました。これは、私だけの思いではなく、すぐに東西の会の多くのフンボルティアーナに共感をもって迎えられることになりました。
 2012年春の東西の会の年次総会は、合同に向けて協議を始めることを承認し、双方から同数の理事を出して合同準備委員会を設置しました(両理事長も含めて14名の委員からなる)。合同準備委員会は、京都と東京で交互に開催しながら審議を進め、11月には新組織の概要を固め、2013年6月に設立総会を開催することを決定し、12月には日本のフンボルティアーナ、約2000人に新組織「日本フンボルト協会」の創設に向けての協力を要請する文書を発送しました。そして、2013年5月には、6月29日の正式の案内状をフンボルティアーナに届ける運びとなりました。

 日本フンボルト協会は、3つの交流を促進することを目的にします。1つは、国際的学術交流です。日独の交流はもちろんですが、とくに重視するのは、東アジアにおいてフンボルティアーナが中心となって学術交流のフォーラムを作り出すことです。創立総会には、韓国フンボルト協会理事長のLee教授が出席され、日本のフンボルティアーナと連携して、中国、台湾との交流を作り出すことを強く要請されました。フンボルト財団の後援をえながら、東アジア学術フォーラムの創出を目指すこと、これは、新協会の追求すべき重要な目的となります。
 2つは、学際的交流です。フンボルティアーナは、ほとんどすべての専門分野で活躍しています。その資産を有効に活用する取組みを進めます。そして3つは、研究者の世代間交流です。フンブルト財団の60年におよぶ活動の歴史に相応して、フンボルティアーナは、いわば数世代に渡って広がっています。日本フンボルト協会は、フンボルティアーナのこのような広がりと厚みを活かして、とりわけ若手研究者の育成と支援の活動を進めます。古い世代の蓄積と知恵を、若い世代のために活かすことは、この中でもとくに重要な取組みとなります。

 日本フンボルト協会は、この3つの交流を結節する取組みの1つとして、日本の若手研究者がドイツ留学の機会を拡大するための支援策を用意します。1つは、「留学支援情報検索サイト」の構築です。もう1つは、「留学説明会」の実施です。
 「留学支援情報検索サイト」は、たんなる情報提供サイトではなく、ドイツ留学を希望する若手研究者・大学院生がドイツでホストとなってくれるドイツ人研究者やその所属機関に関して知りたい情報などについて、日本のフンボルティアーナに個人的に相談することを可能にするものです。情報をできるだけ充実したものにするために、支援サイトへの登録についてフンボルティアーナに広く協力を呼びかけています。
 「留学説明会」は、若手研究者のための奨学金プログラムについて、詳しく説明し細かな疑問・質問に答えるものです。説明会では、フンボルト財団の奨学金プログラムだけではなく、DAAD(ドイツ学術振興会)の奨学金プログラムについてもあわせて説明を行い、若手研究者に広くドイツ留学の可能性をアピールすることを狙いとします。6月29日にも、この留学説明会を開催し、80名をこえる若手研究者が参加し、その後の懇親会ではフンボルティアーナとの懇談の機会が設けられました。

 日本フンボルト協会は、その運営において、全国と地域の活動の有機的結びつきを追求します。6月29日には、創立総会のあとに、7つの支部(北海道、東北、関東甲信越、中部、関西、中四国および九州)の結成総会が行われ、支部活動の体制を作る方向を明確にしました。また、各大学に大学連絡責任者を置き、大学ごとの活動や連絡の体制を確立することにしています。

 日本フンボルト協会は、東西のフンボルティアーナの組織と活動を歴史的基礎にして、創設されました。会則にそのような歴史を書き込むべきであるというご意見も総会で出されました。会則は、いわゆるsollenの世界を表現するものであり、seinとしての歴史を書きつけることにはなじみません。しかし、私たちは、いうまでもなく、この歴史をしっかりと胸に刻んでいます。これまで、東西の会でフンブルティアーナの活動を支え、発展させて下さった諸先輩に心から敬意を表し、感謝したいと思います。

 このホームページをご覧いただく市民のみなさん、日本フンボルト協会の今後の活動にご注目ください。面白い有意義なシンポジウムや講演会等、積極的に企画いたします。また、とりわけドイツに関心をお持ちの市民のみなさんには、有益な情報を提供できると思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

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