理事長挨拶

日本フンボルト協会 理事長  伊藤 眞伊藤眞(HP用写真)

この度、櫻田嘉章前理事長の後任として、日本フンボルト協会理事長に選任されました伊藤 眞です。一言、ご挨拶申し上げます。
2013年に、日本の東西二つのフンボルトAlumni団体が統合し、設立された日本フンボルト協会も、今年で6年目を迎えます。協会発足時の廣渡清吾元理事長、後任の櫻田嘉章前理事長が、これまで進めてこられた方針を踏襲し、日本フンボルト協会を、さらに発展させるよう努めてまいりますので、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 日本フンボルト協会は、日本に在住又は在勤する、約1500名の元アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨学生(Humboldtianer、フンボルティアーナー)から構成され、日独を中心とした学術・文化の国際的交流、会員相互間の学際的交流そして世代間の交流を促進することを目的としております。その目的を達成するために、北海道、東北、関東甲信越、中部、関西、中四国、九州の7支部を設け、より地域に密着した形で、この3つの目的を達成すべく活動しております。具体的には、シンポジウム・留学説明会等の開催、会員交流サイト・留学支援サイトの運営などの事業を展開しております。
日本フンボルト協会は、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団 (Alexander von Humboldt-Stiftung)とも、密接な関係を維持しています。フンボルト財団は、1953年にドイツ連邦政府によって設立され、国境と専門分野にとらわれることなく、世界の諸国とドイツの双方向的な研究者の協力関係を促進し、ドイツの国際的な文化的対話と学術交流を発展させることを目的としている財団です。日本からも、これまで数多くの研究者が、同財団の奨学金を得て、ドイツ各地の研究・教育機関で研鑽をつみ、帰国後は、 各方面で日独両国の学術交流の中心的役割を担ってまいりました。フンボルト財団と日本フンボルト協会(フンボルティアーナー)とは、「一度フンボルティアーナーたれば、恒にフンボルティアーナーたれ “Einmal Humboldtianer,immer Humboldtianer”」という標語のもと、緊密な関係を維持しております。この意味では、日本フンボルト協会は、ドイツのフンボルト財団と日本人フンボルティアーナーを結びつける同窓会組織としての活動も行っています。
ここで日本フンボルト協会の掲げる3つの交流について述べます。まず、国際的学術交流です。日独の交流のみならず、今後は、韓国、中国、台湾など東アジアにおけるフンボルティアーナー同士の学術交流を、フンボルト財団とも連携し促進してまいります。次に、学際的交流です。フンボルティアーナーは、 ほとんどすべての専門分野において、国内外の第一線で活躍しております。日本フンボルト協会は、フンボルティアーナーの同窓会組織としての位置づけを維持しながら、それぞれの学術分野および学術分野を横断する学際的研究において、積極的な情報発信を行ってまいります。3つ目は研究者の世代間交流です。日本フンボルト協会は、将来のフンボルティアーナーを育成するために、日本人若手研究者に対し、ドイツ留学の機会を拡大するための支援策を用意しています。それは、「留学支援情報検索サイト」と「留学説明会」の実施です。
「留学支援情報検索サイト」は、単なる情報提供サイトではなく、ドイツ留学を希望する若手研究者・大学院生がドイツでホスト(Betreuer)となってくれるドイツ人研究者や所属機関に関する情報を得たり、日本のフンボルティアーナーに個人的に相談することを可能にするサイトです。多くの日本人フンボルティアーナーの協力を得て、一層充実した情報検索サイトを今後も提供してまいります。
「留学説明会」では、若手研究者がドイツ留学するための奨学金プログラムについて、あらゆる疑問・質問に答える機会を提供しています。説明会では、フンボルト財団の奨学金プログラムだけではなく、DAAD(ドイツ学術交流会)の奨学金プログラムについてもあわせて説明を行い、また、学問分野ごとの 分科会では、それぞれの専門分野のより具体的な留学情報を得ることができます。このように留学説明会は、若手研究者に広くドイツ留学に対するモティベーションを高めてもらうことを目的としています。今後は、協会本部主催だけではなく、それぞれの協会支部を中心とした留学説明会の開催も視野に入れて検討してまいります。
 日本フンボルト協会は、発足してから5年目を迎えた昨年、ドイツとの学術国際交流を日本から促進するだけでなく、共同研究というかたちで日本の学術振興にもつなげることを趣旨とする、「日独共同研究奨学金制度」を、内外の多くの方々のご賛同をいただき、創設することができました。本奨学金制度創設に際しまして、趣旨にご賛同いただき、ご支援を賜りました協会外の企業・個人の方々、また本協会会員の方々に、改めて厚く御礼申し上げます。本奨学金は、ドイツの若手研究者と日本フンボルト協会会員(フンボルティアーナー)との共同研究を助成するもので、日本フンボルト協会設立以前の旧団体時に実施いたしました「日本研究奨学金」の後継という位置づけでもあります。日独共同研究奨学金制度の第一回目となる本年度は、理系・文系合わせて11件の応募をいただき、同奨学金選考委員会での厳正・公平な審査の結果、2件の共同研究を助成することになりました。詳しい情報は、協会HPでも公表して おりますのでご覧いただければと存じます。本事業は10年継続して行う予定でおります。本事業を成功 させるためには、引き続き、協会内外の方々のご協力を頂かなくてはなりません。本事業のみならず、日本フンボルト協会は、今後とも日独学術交流のさらなる発展に、これまで以上に力を尽くしてまいる所存ですので、ご理解をいただき、ご支援を賜りますよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。

令和元年7月1日
日本フンボルト協会理事長
伊藤 眞

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