理事長挨拶

櫻田先生の写真2018.09.13日本フンボルト協会 理事長  櫻 田 嘉 章

日本フンボルト協会は、2013年、日本の東西二つのフンボルトAlumuni団体の統合により、それらの遺産を承継する形で誕生した、日本のフンボルティアーナーの団体です。そして本協会を創立以来今日の姿まで育て上げられた廣渡清吾理事長が、昨年7月に勇退され、その後任として私が選出されました。以来早や1年がたちましたが、この1年を振り返りつつご挨拶申し上げます。
 日本フンボルト協会は、その構成及び目的として「本会は、日本に在住又は在勤する元アレクサンダー・フォン・フンボルト財団留学生(Humboldtianer、フンボルティアーナー)をもって構成し、日独を中心とした学術・文化の国際的交流並びに会員相互間の学際的及び世代間の交流を進め、連絡・情報交換を密にし、親睦を図ることを目的と」し(会則第3条)、その目的を達成するために「北海道、東北、関東甲信越、中部、関西、中四国、九州の各地区に支部を設け」(会則第5条)、「シンポジウム・留学説明会等の開催、会員交流サイト・留学支援サイトの運営、関連情報の伝達その他本会の目的達成に必要な事業を行う。」(会則第4条)ものとしております。
アレクサンダー・フォン・フンボルト財団(Alexander von Humboldt-Stiftung)は、1953年にドイツ連邦政府によって設立され、国境と専門分野にとらわれることなく、世界の諸国とドイツの双方向的な研究者の協力関係を促進し、ドイツの国際的な文化的対話と学術交流を発展させることを目的としております。したがって、日本からは、研究者個人の力量に着目しながら奨学生を選考して、ドイツにおける学術研究を支援し、また、ドイツからは、日本のフンボルティアーナーのもとへの研究者派遣を促すことにより、両国間の学術研究交流の促進を図っております。そして、財団とフンボルティアーナーとは、フンボルト・ネットワークを通じて、継続的なつながりを維持しているのが特徴と言うことになります(一度フンボルティアーナーたれば、恒にフンボルティアーナーたれ “Einmal Humboldtianer,immer Humboldtianer”)。

本協会は、以上のような意味で、フンボルト財団の奨学生として選ばれ、ドイツのそれぞれの機関において学術研究に携わった者(フンボルティアーナー)によって組織される団体であり、したがって、フンボルト財団の目的の実現にも協力しつつ、日本在住のフンボルティアーナーの同窓会として、また、なによりも本協会創立の目的の実現に向けて活動を進めております。フンボルト財団は、日本にその物理的拠点を有しておりません。従って日本のフンボルティアーナーは、財団と日本を結びつける人的拠点としての活動を期待されているというほかありません。本協会は、そのような日本在住の個人としてのフンボルティアーナーを糾合し、財団のネットワークの一端を担いながら、フンボルティアーナー個人と財団との結節点となる、そのような意味での同窓組織としての役割を担っております。フンボルティアーナーが日本における人的拠点であり、協会がそれを代表するということになりしょう。
 
これまで、日本フンボルト協会は、3つの交流を促進することを目的にしてきました。1つは、国際的学術交流です。日独の交流がもちろん中心ですが、とくに重視するのは、東アジアにおいてフンボルティアーナーが中心となって学術交流のフォーラムを作り出すことです。2013年の創立総会には、韓国フンボルト協会理事長のLee教授が出席され、日本のフンボルティアーナーと連携して、中国、台湾との交流を作り出すことを強く要請されました。本協会は、フンボルト財団の後援をえながら、この課題を追求します。2つは、学際的交流です。フンボルティアーナーは、ほとんどすべての専門分野で活躍しており、その資産を有効に活用する取組みを進めます。そして3つは、研究者の世代間交流です。数世代にわたるフンボルティアーナーの広がりと厚みを活かして、フンボルティアーナーの同窓会として将来のフンボルティアーナーの育成を趣旨に、日本の若手研究者がドイツ留学の機会を拡大するための支援策を用意しています。1つは、「留学支援情報検索サイト」の構築です。もう1つは、「留学説明会」の実施です。
 
 「留学支援情報検索サイト」は、たんなる情報提供サイトではなく、ドイツ留学を希望する若手研究者・大学院生がドイツでホストとなってくれるドイツ人研究者やその所属機関に関して知りたい情報などについて、日本のフンボルティアーナーに個人的に相談することを可能にするものです。情報をできるだけ充実したものにするために、支援サイトへの登録についてフンボルティアーナーが広く協力をしています。
「留学説明会」は、若手研究者のための奨学金プログラムについて、詳しく説明し細かな疑問・質問に答えるものです。説明会では、フンボルト財団の奨学金プログラムだけではなく、DAAD(ドイツ学術交流会)の奨学金プログラムについてもあわせて説明を行い、若手研究者に広くドイツ留学の可能性をアピールすることを狙いとしています。これまで毎年1回必ず開催していますが、今後は異なった地域での複数開催も検討する予定です。説明会のあとは、若手研究者とフンボルティアーナーとの懇談の機会を設けています。

本協会は、その運営において、全国と地域の活動の有機的結びつきを追求しています。上記のように全国に7つの支部が置かれ、支部活動を展開し、独自のHPを立ち上げている支部もあります。また、各大学にも大学連絡責任者が置かれて、本協会のネットワークが形成されています。

 日本のフンボルティアーナーの結節点である、日本フンボルト協会の担うべき課題からいえば、フンボルト財団への恩返しも、また、ドイツとの国際交流を日本から促進することも極めて重要であり、ドイツの若手研究者を日本のフンボルティアーナーとの共同研究に招聘する道がないかを模索してまいりましたが、このたび幸いにも会員の皆様のご賛同を得て、日独共同研究奨学金制度を創設することになりました。会員の皆様のご厚情にあつく御礼申し上げるとともに、この事業が成功するためには、会員の皆様にご寄付あるいは応募というかたちでのご協力を得なければなりません。旧団体の遺産を継承するものとして、なお一層、日独学術交流の促進に力を尽くす所存ですので、よろしくお願いを致します。また、このホームページをご覧の皆様におかれましても、この奨学金制度は、日本から発信するドイツとの学術交流の促進のみならず、共同研究というかたちで日本の学術の振興にもつながるという趣旨をご理解していただいて、基金へのご寄付を心よりお願い申し上げる次第です。
 これまでいただいた内外のご支援に感謝しつつ、なお一層の、ご指導、ご鞭撻をお願いして、ご挨拶と致します。

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