歩み
東日本フンボルト協会と西日本フンボルト会の合同による
日本フンボルト協会の創設までの歩み
日本フンボルト協会は、東日本フンボルト協会および西日本フンボルト会が合同して、2013年6月29日に創設する、日本の2000名近いフンボルティアーナ(Humboldtianer)の全国組織です。フンボルティアーナとは、ドイツ連邦共和国が設立した国際的学術交流推進団体であるアレクサンダー・フォン・フンボルト財団の奨学生としてドイツに研究留学した研究者を指します。
1989年の東西2つの会の設立
東日本フンボルト協会と西日本フンボルト会は、日本におけるフンボルティアーナの組織として、1989年に地域的に東西に分かれて設立されました。東西に分かれての設立は、メンバーの地域的まとまりが重要であり、全国的な組織は運営が難しい等の考慮によったものです。
10周年記念の「日本研究奨学金創設」のための募金活動
東西の両会は、設立後、それぞれ東西の地域に在住するメンバーを中心に独自の活動を行うとともに、フンボルト財団との関係において企画・活動等を協力して進めてきました。その重要な1つは、両会が創立10周年を記念して進めた「日本研究奨学金創設」を目指す募金プロジェクトでした。募金プロジェクトに応じた拠金に基づき、フンボルト本部は「日本研究奨学金制度」を立ち上げ、日本研究を志すドイツの若手研究者を支援しました。両会は、その奨学生選考に協力しました。この奨学金制度は、所期の目的である10年間の事業を成功裏に終え、日本研究を志すドイツの若手研究者の育成に大きな役割を果たすことができました(2000-2010年間で24名に1人あたり5000ユーロの奨学金を交付)。
20周年記念行事とフンボルト・コロキウムの開催
創立20周年に際して、両会は、フンボルト財団事務総長 Georg Schütte氏(当時)をお招きし、記念式典および公開学術講演会「世界の中の日独学術交流」を共同で開催しました(2009年5月・早稲田大学)。そこでは日本のフンボルティアーナの今後の活動についていろいろの抱負が語り合われました。
両会は、ここでの交流を1つの基礎に、日独交流150周年(1860年の日本プロイセン修好通商条約調印から150年)を記念して、東西両会が共同し日本において学術シンポジウムを行うことを企画しました。両協会は、合同組織委員会を設置して準備を進め、フンボルト本部との調整を経つつ、2011年9月に京都(国際文化会館)でフンボルト・コロキウム「グローバル化する世界における日本とドイツの持続的関係―シーボルトと緒方洪庵以来の医学」を開催することができました。
2011年のフンボルト-アルムニ賞の受賞
両会は、これまで不備であったウェブサイトのネットワーク構築、およびドイツ留学を希望する「日本における若手研究者のための情報・相談ネットワーク」(略称「フンボルト留学支援サイト」)の立ち上げを計画して、計画に対する助成をフンボルト財団に申請したところ、趣旨が受け止められ、フンボルト財団の2011年のアルムニ賞(Humboldt-Alumni-Preis. 賞金2万5000ユーロ)を受賞しました。これを受けて東西両会のメンバーからなるワーキンググループを設置し、検討を進めました。ホームページの開設および「留学支援情報検索サイト」の立ち上げは、その後、日本フンボルト協会創設の動きが始まり、これと軌を一にしたプロジェクトとなりました。
東西の会の合同と新協会のコンセプト
両会は、上記のような共同の活動に取り組むことを通じて、東西の合同によって日本のフンボルティアーナの活動を新しい段階に引き上げ、両会がこれまで目的としてきた活動の一層の充実を図ることが可能であり、また、時代の要請でもあると考えるようになりました。新しい協会の課題は、2つに整理されました。1つは、活動の目標です。それは、「3つの交流」、すなわち、国際的学術交流、学際的交流および研究者の世代間交流を発展させることを課題にし、グローバル化する世界のなかでとくにアジア地域の交流を重視するというコンセプトとして示されました。もう一つは、活動のあり方です。それは、全国組織と地域組織の有機的連携を図り、そのために全国に地域支部体制をきちんと位置付けるという考え方として示されました。
東西合同と新協会創設の準備開始
東西両会は、2012年度の各総会において、東西の合同に向けての協議を開始することを了承しました。それを踏まえた両会の理事会の相談によって、東西それぞれの理事長を含む14名の理事からなる東西フンボルト協会・会合同準備委員会を設置し、合同に向けての準備を進めました。委員会は、京都と東京で交互に開催しながら審議を進めました。合同準備委員会は、2012年12月に「日本のHumboldtianerの皆さまへ-東日本フンボルト協会と西日本フンボルト会の合同による日本フンボルト協会の創設について-活動へのご参加と支援のお願い」を日本のすべてのフンボルティアーナに送り、2013年6月29日(土曜日)、京都において創立総会を開催することを予告しました。日本のフンボルティアーナのこの取組みに対しては、フンボルト財団本部のAufderheide事務総長から激励のあいさつが寄せられました。
ホームページの開設
合同準備委員会は、3月の会議で会則案を含めて新協会の内容についてほぼ合意に達し、また、6月29日創立総会の具体的なスケジュールを確定しました。ホームページと留学支援情報検索サイトの準備は予定よりも遅れましたが、5月末には完成する手筈となりました。6月29日の創立総会を待たずに、ホームページは公開され、留学支援情報検索サイトに協力するフンボルティアーナの個人情報入力が始められることになりました。
日本フンボルト協会の誕生
2013年6月29日、京都リサーチパークにおいて、日本フンボルト協会の創立総会が開催されました。全国から120名をこえる日本のフンボルティアーナが京都に集いました。総会では、創立に至る経過が説明された後、会則の審議と承認、役員の提案と選任が行われ、日本フンボルト協会が誕生しました。日本フンボルト協会のドイツ語名称は、Humboldt-Gesellschaft Japanと決定しました。
総会には、ドイツのフンボルト財団本部から代表としてクラウス・マンデルラ博士が出席し、お祝いのあいさつを述べました。また、韓国フンボルト協会からリー理事長が出席し、今後、東アジア地域においてフンボルティアーナの連携した活動を進めていくことへの期待を表明しました。さらにドイツ大使館を代表してオルプリッヒ博士がお祝いを述べました。答礼のあいさつは、東日本フンボルト協会の初代の理事長を務めた西原春夫博士(元早稲田大学総長)が行いました。
総会後、第1回の理事会が開催され、日本フンボルト協会の理事長に広渡清吾会員(前東日本フンボルト協会理事長)を選出しました。副理事長には、櫻田嘉章会員(前西日本フンボルト会理事長)、西川伸一会員(前西日本フンボルト会事務局長)および縣公一郎会員(前東日本フンボルト協会常務理事・フンボルト財団学術参与)が就任しました。また、7つの支部の結成総会が開催され、支部体制を決定しました。